イネウサルカ

創作小説・イラスト+PSO2


  

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ひとつを貫くもの 第22話。

いろいろ詰め込んでいるのでまずはこちらの注意書きをご覧ください。

カズマの過去と自らが選択する未来の物語。
前回→第21話

ベルクトだって常に脳内カニカマヘブン状態じゃないんですよ。2割くらいは別な事もちゃんと考えてるんですよ。

二次創作の物語なので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。




 どのような言葉を掛ければいいだろう、皆を落ち着かせ励ますには。その事ばかりを考えているうちに、足はいつの間にか我が家へと辿り着いていた。
 一瞬躊躇ったが突っ立っていても仕方がない、家へと入り「ただいま」と帰宅を告げた瞬間、突然春望が飛びついてきた。
「ビックリしたぁ! もっちどうした?」
 驚くヴィンツィエロに対し、春望は彼にしがみついたまま顔を上げようとしない。
「……ヴィンにーちゃん、ごめんなさい……」
 それはしつこく詰め寄った事への謝罪なのだろう、知りたかったカズマの事を聞くと同時に、はぐらかし続けてきたヴィンツィエロの事情も知ったのかもしれない。
 離れようとしない春望の両肩をポンポンと叩いて促し、ようやく離れた彼の前にしゃがんで視線の高さを合わせる。
 しょんぼりとした春望の顔は、明らかに泣いていたのが分かる。ヴィンツィエロはそんな彼の頭を優しく撫でた。
「オレの方こそ怒鳴ったりしてごめんな。仲直りしてくれる?」
 ヴィンツィエロが優しい口調で問いかけると、春望は頷いてヴィンツィエロに抱きついた。
 春望にとってカズマはたった一人の父親だ、大きな不安を抱えてしまっただろう。だからといって、カズマは必ず帰ってくるなどとは、気休めでも安易に口には出来ない。
 言葉が出てこないヴィンツィエロの目に、和室へ繋がるドアが開くのが映った。
「ヴィン、おかえり」
 顔を覗かせ声を掛けてきたのはレニだ。平静を装ってはいるが、顔に険しさが見え隠れしている。
 どうやら皆和室にいたようだ、春望を促して共にそちらへ移動し、そこで真っ先に目に飛び込んできたのは泣いているサクヤの姿だった。彼女が泣いている姿を見るのはいつ以来だろう。慰めるミネの腕の中で泣き続けるサクヤに近付き、髪をくしゃくしゃにするように頭を撫でた。
「サクヤ、そんなに泣くなって」
「ヴィンちゃん……」
 ヴィンツィエロの存在に気付くなり抱きついてきたサクヤを受け止め、慰めながら春望よりも泣き虫だと言って少し笑った。
 春望と一緒にサクヤを落ち着かせながら、ヴィンツィエロは室内を見回した。外へ出ている間に帰宅していたのだろう、ピクシーとベルクトの姿がある。
 余程ショックを受けたのかピクシーは今にも気絶してしまいそうな顔色だ。倒れやしないか心配になる程のピクシーを支えるように、彼女の隣にはベルクトがいる。彼が一番騒ぎ立てそうなものだが、普段の騒がしさとは間逆の真面目な顔つきと冷静な態度が印象的だ。
「ミネさん、ヤマト、ありがとね」
 皆に説明し、落ち着かせるのは大変だっただろう、状況を知っていながら二人に任せてしまった事を申し訳なく思いながらヴィンツィエロは二人へ礼を言った。
「……ねえヴィンにーちゃん、とーちゃん……帰って来れるのかな」
 俯いて尋ねた春望も、可能性の低さには気付いてはいるのだろう。彼が求めているのは「きっと」というような希望的観測ではなく、根拠のある現実的な答えだ。
 春望の問いに答えようとしたが、ヴィンツィエロは口を噤んだ。はっきりと口にしてしまえば、自身が抱く望みも消え去ってしまう気がしたからだ。
 室内がしんと静まり返り、漸く止まりかけた涙がまた溢れそうになるサクヤの背を摩る。この重い空気の中で口を開いたのはベルクトだった。
「現状、手立てがないなら無理だろ」
 シャオに打てる手がないのであれば、自分が考えたところで良策が閃くとも思えない、ともベルクトは言った。



第23話→15日更新予定。

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