イネウサルカ

創作小説・イラスト+PSO2


  

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ひとつを貫くもの 第21話。

いろいろ詰め込んでいるのでまずはこちらの注意書きをご覧ください。

カズマの過去と自らが選択する未来の物語。
前回→第20話

今回はまなはるさん家のウラルクくんに登場してもらいました。

二次創作の物語なので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。




 テレポーターを利用し、何となく向かった先は市街地だった。その理由は日々の買物でよく訪れる為かもしれない。
 特に行き先が決まっているでもなく、周囲を眺めながらブラブラと歩く。しばらく歩みを進めていくと公園が目に留まり、ヴィンツィエロは足を止めた。
 春望がよく遊びに来る場所であり、小さい頃は自分もよくここへ来ていた。最近はあまり来る事もなかったな、と、少し思い出した幼い頃を懐かしみながら入り口から公園を眺める。
「あれ? ヴィンじゃん。買い物行くとこ?」
 ここで声を掛けられるとは思いもよらず驚いて振り返ったヴィンツィエロの目に映ったのは、褐色の肌に銀髪の青年だった。仲の良い友人の一人であるウラルクだ。
「あー買い物忘れてたな。ウラはお使い?」
 手に下げた買い物袋を見て尋ねたヴィンツィエロへ、ウラルクはそんなところだと言って笑った。
「ヴィン、なんかあった?」
「え? なんで?」
「しょんぼりした顔してるからさ。分かりやすいんだよ」
 感情が表れやすいその顔を見れば、何かがあったという事くらいは分かる。だからと言って落ち込んでいる理由を聞き出そうというつもりはなく、大丈夫か心配して彼は尋ねたのだ。
 ヴィンツィエロは苦笑いを浮かべた顔を公園内へ向ける。
「もっちの言葉に思いの外ダメージ受けちゃって、カッとなって怒鳴りつけちゃったんだよね。で、泣かせちゃったから頭冷やしに来た」
「……いつものケンカって訳じゃなさそーね」
 ヴィンツィエロと春望が喧嘩をするのはよくある事だ。喧嘩というよりは親が子を叱るのに近く、ウラルクもそんな二人の喧嘩を何度も見ている。
 口喧嘩の末に春望が泣く事はたまにあるが、怒鳴りつけて黙らせ、泣かせた事は今までなかった。だからこそ自らの行いを悔い、こうして冷静になろうと一人外へ出て来たのだという事はヴィンツィエロの顔を見れば分かる。
「仲直り出来そう?」
「うん。ウラと話してたら落ち着いたわ」
「だろー? ほら、オレ癒し系だから」
 冗談めかして言うウラルクに「初耳なんですけどー」と返すヴィンツィエロの笑顔は、普段と変わらないものに戻っていた。少しは元気が出たかな? とウラルクは心の中で呟き、笑みを浮かべる。
「ヴィン、何かあったら言いなよ? お兄さんが相談に乗っちゃうよー」
 ウインクして見せる彼が茶化しているように一見感じられるかもしれないが、本当に心配してくれているのだとヴィンツィエロには伝わっていた。
「それじゃ、催促されそうだからオレそろそろ行くよ」
「うん、ありがとなウラ」
 互いに「またな」と声を掛け合い、手を振りながら去って行くウラルクを見送る。彼の姿が見えなくなってから、ヴィンツィエロは小さな溜息を零しつつ帰路へついた。その足取りは決して軽くはない。
 今頃皆はヤマトとミネから状況の説明を受け、動揺している事だろう。特にサクヤと春望は泣いているかもしれない。その姿を想像すると居た堪れない気持ちになる。



第22話→近いうちに。

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