イネウサルカ

創作小説・イラスト+PSO2


  

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ひとつを貫くもの 第18話。

いろいろ詰め込んでいるのでまずはこちらの注意書きをご覧ください。

カズマの過去と自らが選択する未来の物語。
前回→第17話

ドゥンドゥン書きたいのに時間がない(´・ω・`)

二次創作の物語なので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。




「そういえばカズマさん、昔はレンジャーだったって言ってたよね」
「ああ。適性があるのはレンジャーだからな」
 戦う理由が守る為に変わった時、レンジャーから転向したファイターには適性がない。カズマは第一世代のアークスだからだ。適性があるレンジャー程の力を発揮出来ないと分かっていながらファイターを選んだ事に後悔はしていない。
 悪戦苦闘したファイターも十年の間に様になったが、これから先はすぐ側で大切な誰かを守る事は出来なくなる。
「ヤマト、マトイを頼む」
 深く関わってしまえば放っておけない性分だ、彼女には幸せに笑っていて欲しい。だが、もう彼女の隣に立つ事も出来ない。側で守る事は出来ないのだ。
 ヤマトは優秀なアークスだ、自分よりもよっぽど強いとカズマは感じている。ヤマトに任せるのなら安心出来る。そう彼女への信頼を口にするカズマを見つめるヤマトの目が真ん丸になっていた。サクヤと歳が近いためか、子供のように扱われ、時には軽くあしらわれる事もあり、今までそんな風に言葉で伝えられる事がなかった為だ。
 カズマが信頼を口にしたのはこういう時だからこそであり、彼の中に不安があるのだとヤマトは感じ、彼の手を両手でぎゅっと握った。
「任せて! マトイちゃんもカズマさんも私が守るからね!」
 彼女の宣言にカズマは面食らった顔をし、それから苦笑いを浮かべた。俺の事は気にしなくて良いと言っても、ヤマトは首を横に振る。彼女もなかなか頑固だ、そう思って少し笑いながら、カズマはヤマトの手を握り返した。
 どれ程のダーカーを倒したのだろう、手を介して流れ込んでくるダーカー因子の量が多い。体内に蓄積されたダーカー因子が減っていくのに気付いたらしく、ヤマトは不思議そうな顔をしている。
「カズマさん……何かしてる?」
「さぁな。……ヤマト、無理だけはするなよ」
 ダーカー因子を吸収する力の事まではイヅナも話さなかったようだ、彼女の問いにとぼけてから、カズマは一応釘を刺した。言ったところで状況によっては無理も無茶もするのだろう。
「そういうカズマくんも、あんまり無理しちゃダメだよ?」
 人の事を言えないくらいカズマも無理をして押し通そうとするのをミネは知っている。特に一度やると決めた事にはかなり無茶をするくらい頑固だ。
 釘を刺したつもりが刺されてしまった。バツが悪そうな顔をしつつ、カズマは彼の肩に手を置く。
「ミネ君、悪いが……」
「うん、みんなの事はぼくも気を付けて見ておくから、心配しないで」
 何よりも守りたいものを、彼は良く分かってくれている。子供達の事を良く知っているミネも見守ってくれるのならば安心だ。
「ありがとう。安心して俺のやるべき事をやれそうだ」
 まずはそのやるべき事を見つけるところから、だが。しかし、それはもう少しで見つかる。そんな予感がしていた。
「二人に会えて良かった。お陰でだいぶ気持ちが落ち着いたよ。……そろそろ戻った方がいい。シャオが心配するぞ」
 シャオの許可を得ているか否かは知らないが、どちらにせよ長居をすれば彼が気を揉む事になるだろう。いつ何がどうなるか分からないのだから。
 帰るよう促され渋るヤマトを、立ち上がったミネが視線で諭す。名残惜しそうな顔で腰を上げたヤマトは、同じく立ち上がったカズマの正面に立った。
「カズマさん、また来るから!」
 毎日通うとまで言い出す彼女に、カズマは苦笑しながらヤマトの背を押す。
「もう来なくていいぞ。ほら、早く行け」
「そんな言い方しなくても~」
「こうでも言わないとお前本当に毎日来るだろ。早く帰りなさい」
 最後は子供達に言い聞かせる時と同じ口調で言われ、ヤマトは少しむくれながらもミネの側へ歩み寄った。
「カズマくん、またね」
「……気を付けてな」
 笑顔で軽く手を上げるミネに同じ仕草で応え、カズマは歩き出した二人を見送る。
 時折振り返りながら進むヤマトと並んで歩くミネは、一度も振り返る事なく開けた場所へと出た。
「ミネさん?」
見上げた彼の横顔が切なそうで、それでいて少し怒っているようにも見え、ヤマトは小首を傾げながら彼に声を掛けた。
「……カズマくん、『またな』って言ってくれなかったよ。もう僕達と会うつもりないっていうか、帰ってくる気がないんだなぁって思ってね」
 いつもと同じ別れ際の挨拶になるはずが、彼は返答に困った顔をして「気を付けて」と言った。
 イヅナから事情を聞いた時、カズマが話すようなら胸の内を聞いてやってくれと頼まれていた。だが、彼はきっと抱えているものを半分も吐き出していないだろう。
 カズマがいるであろう方向へ振り返るヤマトの背へ、ミネはそっと手を添え行こうと促す。
「帰ろう。どうしたらカズマくんが戻って来れるか考えないとね」
 そう言って笑みを見せるミネにヤマトは力強く頷いた。
 彼女はミネの手を握ったかと思うと、急かすように足早に歩き出す。真っ直ぐ前を見つめて進む彼女は、もう振り返りはしなかった。



第19話→そのうち。

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